一般社団法人日本左官業組合連合会Japan Plasterers' association

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重みと格のある素材感を備え、多彩なテクスチュアを表現

セメント系仕上げは、明治の近代化で登場した洋風建築により我が国に広まった。その仕上げの魅力は、その耐久性や強度もさることながら、重みと格のある素材感、経年変化で深みを増す豊かな表情などが挙げられる。さらには、多彩なテクスチュアが表現できる点が特筆されよう。
普通モルタル押さえ仕上げ
歩掛 6m2/人日
特徴 金鏝で強く押さえて手早く仕上げる。モルタルにプラスターや石粉などを配合すると表面が平滑に仕上がる。
普通モルタル刷毛引き仕上げ   色モルタルリシン仕上げ   モルタルドイツ壁仕上げ
歩掛 6.5m2/人日
特徴 中粒子の砂をモルタルに配合し、塗布した後、刷毛をまっすぐに引き通して仕上げる。
  歩掛  6.5m2/人日
特徴 顔料と砂を混ぜ合わせたモルタルを塗り付け定着させた後、表面を掻き落として粗面仕上げにしている。
  歩掛  4m2/人日
特徴 モルタルをブラシなどで叩きつけて表面に定着させて仕上げる。男性的で重厚な質感を提供する。「はき付け」とも言う。
色モルタル押さえ仕上げ   色モルタル刷毛引き仕上げ   擬木・擬板、擬岩仕上げ
歩掛 6m2/人日
特徴 微粉を配合した色モルタルを塗布し、時間をおかず鏝で押さえて表面をきめ細かく仕上げる。
  歩掛 6m2/人日
特徴 塗り付けたモルタルがまだ柔らかいうちに刷毛引きして仕上げる。
  歩掛 仕様によってかなりの差がある。
特徴 色モルタルを塗った後、工具を使って木目や板目などを描いて仕上げる。写真はケヤキ板を模した擬板仕上げ。

セメントモルタル塗
バランスのとれた性能を備え、多様な塗り仕上げが可能
■特色
ポルトランドセメントを主材料にした塗り工法。建築材料として十分に満足しうる強度・耐水性・防火性を備え、しかも材料の普及度や経済性も高い。そのため現在最も普及した工法の一つとなっている。通常は各種塗り材の下地として施工される場合が多いが、混和材料や骨材を調整することによって、多様な性質と表情を備えた仕上げ塗りが可能である。
■適した部位
住宅および一般建築の外壁、床、塀をはじめ広範な部位に用いられる。最近では外壁を漆喰塗り仕上げする際の下地に施工するケースも多くなってきている。
■性能評価
延焼防止の効果があり、木造住宅でも外壁をモルタルで覆うことにより防火性が向上する。強度・剛性が高いため、しっかりとラス貼りされたモルタル壁は簡単には壊れない。また、コンクリートに比べて防水性が大きく、仕上げに適した材料と言える。
グラフ
■施工工程
乾燥による収縮が大きく、剥離、ひび割れが発生することがあるので、一工程内の作業については乾燥時間に留意しながら作業を進める。特に鏝押さえの場合、時間をおいて押さえると付着力が損なわれるおそれがあるので、手早く仕上げる必要がある。逆に工程と工程との間では、十分に時間をおいて乾燥させ、硬化をはかってから次の工程に進む。なお、仕上げ厚が20mm以下の天井・壁は中塗りを省略する場合がある。
施工工程フローチャート
( コンクリート下地の場合)
施工工程フローチャート
( コンクリート下地の場合)
■下地
セメントモルタルの下地としては、メタルラス、ワイヤラス、ラスシートなどのラス下地とコンクリート、レンガ、ALCパネル、PCパネルなどの躯体下地に大きく分類される。ラス下地の場合、使用するラスは強度のあるものを選び、ラスとモルタルを強く結束させる必要がある。一方、躯体下地では、剥落防止のために、合成樹脂エマルションの混和もしくは塗布を行うなどの付着性を重視した処理が不可欠。
■材料と調合
 
セメント
川砂
下塗り
1
中塗り
1
2.5
上塗り
1
3

セメントモルタルは下・中塗り用、仕上げ塗り用、薄塗り用など、用途に応じて各種の混和剤を混入して使われることが多い。また、それぞれの用途に対応した既調合材料の使用も一般に普及してきた。

■仕上げ
【刷毛引き仕上げ】塗布したモルタルの表面がまだ柔らかいうちに、刷毛目正しく水平に引き通して仕上げる。吹き付け仕上げの処理として扱われることも多い。
【金鏝押さえ】木鏝でならしたモルタル表面を手早く金鏝(仕上げ鏝)で強く押さえて仕上げる。とくに既調合の軽量モルタルはこの仕上げに適しており、塗り付けとともに仕上げるのが原則。
【色モルタル仕上げ】中塗り後、その上に色モルタルを塗り厚5mm以上に塗る。
【掻き落とし仕上げ】中塗り後、その上に仕上げ材を6mm以上塗布し、硬くなった頃合いを見て、鏝・金ぐし・ブラシなどの道具でムラなく掻落として仕上げる。混入する砂の粒度を下げると、しっとりした表情を出すことができる。
■メンテナンス
近年しばしば発生する酸性雨によって、モルタルが中性化してラスがさび、モルタル表面の剥落を引き起こすことがある。これを防ぐためには防さび処理したラスを使用し、繊維などの混和材料を混入したモルタルを用いるなど、ひび割れを入れないような対策を講じる必要がある。
下地シーラー塗りの施工 中塗り(モルタル塗り付け)の施工 中塗り(櫛目引き)の施工 ドイツ壁仕上げの作業
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内装用途に広く適応。平滑で質感のある純白の仕上がり

石膏プラスター塗とドロマイトプラスター塗は、ともに平滑で純白の仕上がり面が得られるという点が共通するが、石膏プラスターは、混入する骨材の粒度や顔料などによって、より変化に富んだ高い質感が得られることが特徴。一方、ドロマイトプラスターはその作業性の良さから、可塑性の高いテクスチュア表現に適している。
ドロマイトプラスター押さえ仕上げ
歩掛 5m2/人日
特徴 仕上げ鏝で撫であげた後、水刷毛で仕上げる。きめの細かい仕上がり面を比較的容易に得ることができる。
ドロマイトプラスター叩き仕上げ   石膏プラスター押さえ仕上げ
歩掛 4.5m2 /人日
特徴 素材の持つ可塑性の高さ、作業性の良さを活かしたテクスチュア。変化に富んだ表情を提供する。
  歩掛 5m2 /人日
特徴 石膏独特の豊かな質感をそなえた純白の仕上がり面。混入する砂の粒度によってその表情は多彩。

プラスター塗

成形の自由度と作業性に優れ、幅広い用途に多彩な表現が可能。
■特色
純白で平滑な仕上がり面を比較的容易に得ることができる。しかも成形の自由度が高く、多彩な「荒らしもの」のパターン表現も可能。石膏プラスターは乾燥に伴う収縮がほとんどないため、壁面に亀裂が生じにくいという利点があり、ドロマイトプラスターは、糊材を必要としないため混練りが容易で作業性が良い。強度は石膏プラスターの方が強い。
■適した部位
石膏プラスターを塗った石膏ラスポード下地は、屋内の塗り壁下地としては最も一般的。一方ドロマイトプラスターは、その作業性の良さから、鉄筋コンクリート建造物の内部で多く使用されている。
■性能評価
石膏プラスターは、火災時に多量の水分を放出して温度の上昇を抑えるため、防火・耐火性は高いと言える。その半面、保水性が高いため水気の多い場所には適さない。また、十分な硬度を備えており耐久性は高い。
■施工工程(石膏プラスター塗)
練り合わせした塗り材は、およそ1時間前後で凝結し始めるため、必要量だけを練り合わせるようにし、できるだけ迅速に作業を進める。石膏ラスボード下地の場合、下塗り・中塗りはボード用石膏プラスターを用い、上塗りは混合石膏プラスターで行う。その他の下地については、主にセメントモルタルで下塗り、ムラ直し、櫛目入れなどを行い、2週間以上かけて完全に乾燥させた後、混合石膏プラスターを用いて中塗り、上塗りを行う。塗り作業中はできるだけ通風をなくし、急な硬化を防ぐとともに、直射日光が当たらないように留意する。
施工工程断面図
(石膏プラスター塗:石膏ラスボード下地の場合)
施工工程フローチャート
(石膏プラスター塗:石膏ラスボード下地の場合)
■下地
石膏ラスボード下地のほか、コンクリート系、レンガ、ラス、ALCパネル、PCパネルなどが使用される。ただしドロマイトプラスター塗でALCパネル、PCパネルなどの平滑で吸水性の高い下地を使用する際には、十分な付着力が得られないことがあるため、その対策として、接着増強剤などを塗布して付着力を高めるようにする。
■材料と調合
 
石膏プラスター
川砂
下塗り
1(ボード用)
1.5
中塗り
1(〃)
2.0
上塗り
1(混合石膏プラスター・上塗り用)
0
※石膏ラスボード下地の場合

石膏プラスターは、練り合わせる水と川砂の量で強度を調整する。材料は速乾性が高いので、練り合わせ時間は5分を目安に収めるようにし、一度に多量の練り合わせは避ける。なお、ドロマイトプラスターにセメントの混入は避ける。

■仕上げ
上塗り終了後、水引き加減を見て仕上げ鏝で撫で上げる。最後に水刷毛で仕上げていくと、滑らかで純白の仕上がり面が得られる。逆に艶消しで仕上げる場合は、プラスター刷毛に水を含ませ、直線に刷毛引きして表面の鏝光りを消す。このほか、櫛引きやワイヤブラシ引きなど「荒らしもの」としてさまざまなパターンをつけたり、調色の具合や砂の粒度を変えることで魅力的な質感を表現することができる。
■メンテナンス
施行後、数年たって表面にひび割れや剥離が起こることがある。その対策として、下地に下擦りや、ムラ直し、櫛目入れなどの処理を丁寧に施しておく必要がある。特に石膏ラスボード下地の場合は、ボードの継ぎ手部分に貫張りを伏せ込むなど、亀裂防止のための処理を施す。その際、ボード止め用の釘類は亜鉛溶融メッキされたものを使用する。
ボード用石膏プラスター中塗り木鏝仕上げの作業 仕上げ鏝押さえの作業
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仕上げの程度にかかわらず得られる、表情の豊かさが魅力

漆喰(しっくい)仕上げは、長い歴史の中で培われ洗練されてきた左官工法である。ごく簡易な仕上げから丹精込めた上等な仕上げまで、それぞれに価値ある表情がある。「撫で」「押さえ」「磨き」などの鏝操作により、独自の質感を備えた幅広いテクスチュアを創り上げることができる。
漆喰押さえ仕上げ
歩掛 3m2/人日
特徴 最も基本的な漆喰仕上げの一つ。これまで土蔵の壁などに多く行われてきたもので、金鏝などで押さえて仕上げる。
漆喰パラリ仕上げ   土佐漆喰押さえ仕上げ   漆喰引摺り仕上げ
歩掛 3m2/人日
特徴 漆喰を撫でる程度で粗面に仕上げるもの。京都御所の壁にもこの仕上げが用いられている。粗放な表情が味わい深い。
  歩掛 3m2/人日
特徴 土佐漆喰は一般の漆喰と異なり、糊を混入しないため水に強く、厚塗りができる。また施工後は、白色に変化していく。
  歩掛 3m2/人日
特徴 引摺ることで表面に微妙な凹凸を加味する。漆喰の持つ柔らかな質感に、さらに深みを与える仕上げ。
卵漆喰押さえ仕上げ   黒漆喰本磨き仕上げ   赤漆喰押さえ仕上げ
歩掛 3m2/人日
特徴 一般に「白壁」のイメージが強い漆喰だが、色粉を加えることで、一味違った表情を創り出すことができる。
  歩掛 2m2/人日
特徴 灰墨を入れた漆喰をムラなく塗り付け、丹念に磨き上げていく。その微妙な光沢は落ち着きと格調高さを感じさせる。
  歩掛 2m2/人日
特徴 赤い顔料を加えた漆喰を塗り付け、平らに押さえて仕上げる。鮮やかな発色の中にも不思議な趣きがある。

漆喰塗
湿気の呼吸性や断熱性に優れ、種類も豊富
■特色
漆喰は、消石灰に砂、糊、スサなどを混入した日本独自の塗り壁仕上げ材料。城郭や土蔵など伝統的建物に塗られた純白の漆喰壁が広く知られるが、色粉を加えた色漆喰や材料に糊を使わない土佐漆喰など、その種類は実に豊富である。最近は材料が入手しづらくなっているが、自然のサイクルに適合した塗り壁として、その価値が再び見直されてきた。
■適した部位
材料の調合によって可塑性が自由に調整できるため、住宅・一般建築の内外壁、塀などにとどまらず、屋根のほか彫塑材としても使われる。
■性能評価
古くから土蔵など気密性の高い建物に多く使われてきたように、湿気の呼吸性や断熱性に優れている。また、その防火性能についても相当高い評価が与えられる。
■施工工程
強度が低いため、塗り厚を薄くし、塗り回数を多くするのがポイント。木摺下地の場合、とんぼの一つを延ばして下塗りし、木摺間に十分に摺込む。下塗り後は10日以上おいてムラ直しを行った後、残りのとんぼを摺り込んでいく。上塗りは中塗りが乾ききっていない状態を確認して行う。これより前工程ではできる限り通風をなくすのが良いが、上塗り後は逆に通風を与えて乾燥させるようにする。低温下での施工は避ける。
施工工程断面図
(木摺下地の場合)
施工工程フローチャート
(木摺下地の場合)
■下地
木摺や木舞壁、土真壁などの伝統的な下地のほか、コンクリート系、レンガ、セメントモルタルにも適合する。また、剛性はこれらにやや劣るが、鋼製金網やラスシート下地も使用できる。石膏ラスボード下地には、その表面にアルカリ侵入を防ぐサイジング処理を十分に施して使用する。
■材料と調合
糊材には、ぎんなんや、つのまた(角又)などの海藻糊(ふのり)のほか、種々の化学糊が用いられ、これらを消石灰や貝灰と調合して使用するが、現在は既調合の袋詰め材料を用いることが多い。スサには麻系統の材料が多く使用され、漆喰の収縮性を低減するために川砂を混和することもある。なお、土佐漆喰には糊材は使用しない。

 
消石灰
川砂
つのまた糊※
すさ※
下塗り
1(下塗り用)
0.1
1000
900(白毛)
ムラ直し
1(〃)
900
800(〃)
かの子擦り
1(〃)
0.2
800
700(〃)
中塗り
1(〃)
0.7
700
700(〃)
上塗り
1(〃)
0
500
400(さらし)
※消石灰20kgにつき(g)
■仕上げ
【磨き仕上げ】麻スサを数層にわたって塗り付けた上に、さらに紙スサを数度にわたって塗り付け、最後に押さえ込んで、磨き鏝や手擦りで丹念に磨き上げる。相当な日数を要する最上級の仕上げ。
【鏝押さえ仕上げ】磨き仕上げより塗り付ける層の回数を少なくし、最上層は磨かずに鏝で固く押さえ込んで仕上げる。表面の質は鏝のかけ具合によって微妙に変わってくる。
【色もの漆喰仕上げ】中塗りが終わり、約1日放置した後、水引き加減を見て色もの漆喰を薄く塗り付けていく。その後、数層にわたって色もの漆喰をムラなく塗り付け、最後に撫で鏝で通し撫でを行って丁寧に仕上げる。冬場の色もの仕上げはムラが出やすいので避ける。
■メンテナンス
漆喰に混入する糊は保水性を高め、作業性を向上させる利点を持つが、その半面、乾燥後の収縮率が高いため、時としてクラックが入ることがある。その防止のためにはスサを塗り材に混入するとともに、塗り厚をできるだけ薄くし、塗り回数も多くする。
かの子擦りの施工 上塗り(塗り付け)の施工 上塗り(押さえ)の施工 引摺り仕上げの作業
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和風・洋風を問わない適応性があり、バリエーションも豊富

繊維壁材はその種類・品質ともに製品のバリエーションが豊富で、和風・洋風を問わない幅広いテクスチュアを創り上げることができる。施工にも比較的手間がかからず、コストメリットもあることから、内装仕上げ材としての実用的な性能は相当高いといえるだろう。
土壁風仕上げA(聚楽風)
歩掛 4~5m2/人日
特徴 聚楽土の落ち着いた色合いとたたずまいを、高品質に再現したテクスチュア。
土壁風仕上げB(錆聚楽風)   土壁風仕上げC(藁聚楽風)   綿壁風仕上げ
歩掛  5m2/人日
特徴 土壁の錆入り仕上げを表現。天然素材の持つ豊かな質感と味わいを、短い工期で提供することができる。
  歩掛  5m2/人日
特徴 藁スサという天然素材のテクスチュアを用いた、素朴さと落ち着いた表情が魅力。
  歩掛 5m2/人日
特徴 綿の柔らかな風合いと温もりを表情豊かに提供する仕上がり。かつて和室の内装仕上げに流行した。
砂壁風仕上げ        
歩掛 4m2/人日
特徴 砂壁の落ち着いた色合いとテクスチュアを活かした仕上がり。
       

繊維塗壁
多彩なテクスチュアが表現できる、内壁仕上げの代表格
■特色
塗りやすく作業性の高さを備えているという利点から、1950年代より内装仕上げとして急速に普及した。鏝ムラが出にくく、高度な熟練技能を要しないことも、多くの左官技能工に親しまれてきた要因の一つ。繊維壁材は各メーカーより数多く市販されており、和・洋室いずれにも適用する品質とバリエーションが確保されている。そのため多彩な表現が可能である。
■適した部位
主に内壁や天井に用いられる。ほとんどが人目にさらされる部位であるだけに、壁材メーカーも各種テクスチュアの開発に力を注いでいる。
■性能評価
塗面にびひ割れが起きにくく、内装には十分な耐久性を持つ。現在も調湿機能・防カビ・環境汚染対策などの向上を目指し、新製品が次々と開発されている。
■施工工程
施工は下地が乾燥した後で行い、上塗りではなるべく薄く塗り付ける。厚いと乾燥が遅れるうえ、乾燥後チリぎわが反曲する原因となる。また、塗り材に含まれる繊維が長い場合は、乾燥後に下地が見えてしまうことがあるため、心持ち塗り厚を厚くとるようにする。同様のことは、白系など淡い色目の塗り材を使用する場合にもいえる。ただし必要以上の厚塗りは、剥落の原因になるので避けなければならない。
施工工程断面図
(石膏ラスボード下地の場合)
施工工程フローチャート
(石膏ラスボード下地の場合)
■下地
一般的には左官工事の中塗り面を下地とする場合が多い。ALCパネルやPCパネルなどの合板系下地や、ボード系下地、コンクリート下地が使われるケースも少なくない。また、セメントモルタル下地やドロマイトプラスター下地はアルカリ性が高いため、下地処理を施すか、耐アルカリ性の壁材を使用する。このほか土壁・漆喰壁・石膏プラスターなどの既成の下地にも幅広く適応している。
■材料と調合
市販品はそのほとんどが、3.3m2塗る分量の壁材を1袋分として詰められているため、現場ではこの量を目安に指定量の水を加えてよく混和する。材料によって異なる場合もあるが、混和した後、糊材を繊維質に十分浸透させるために半時間程度放置しておく。
■仕上げ
塗り付けていく途中で、材料の中の繊維質が固形化する場合がある。この様な場合は作業を中止し、その固まりを必ずきれいに取り除くようにする。上塗り塗り付け後は、水引き加減を見て仕上げ鏝を使って丁寧に鏝ムラを取っていく。仕上げ時の「返し鏝」は避ける。また、寒冷下での施工は見合わせるか、暖房をして5度以上の室温を確保する。施工後は通風を良くして、乾燥を速めるように心がける。
■メンテナンス
塗面の状態によっては、施工後5~6年を経て表面の塗り材が次第に剥落してくることがある。原因としては必要以上の厚塗り、糊材の劣化などが考えられるが、その対応策として塗り材にボンドを混入しておくと良い。また、カビや藻の発生を防ぐには、塩素系カビ除去材などを用いて電圧洗浄を行い、乾燥後、仕上げに防藻塗料を塗布しておくと良い。
石膏ラスボード下地処理の作業 中塗り櫛目引きの作業 仕上げ鏝仕上げの作業
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自然の色彩と肌合いが味わい深く調和し、伝統美を表現できる

土壁塗は我が国在来の工法で、長きにわたる左官技能工の経験と知恵の積み重ねで培われてきたもの。材料はほとんどが天然産で、もともと各地で入手しやすい材料が使われてきたことから、地方によってさまざまな仕上げがある。現在の土壁工法は、主に京都に伝わる技法を中心としており「聚楽土仕上げ」「大津壁仕上げ」などがその代表と言える。
本聚楽水捏ね仕上げ
歩掛 2m2/人日
特徴 聚楽土に砂・スサを加えて水でこねた主材料を鏝で押さえて仕上げる。独特のきめ細かで品のある表情が美しい
京土中塗仕上げ   白大津仕上げ   赤大津磨き仕上げ
歩掛 4m2 /人日
特徴 中塗土の持つ素朴で豊かな素材感を表現する伝統の仕上げ。藁スサの選択によって表情は多彩に変化する。
  歩掛 3.3m2 /人日
特徴 伝統的な「押さえ壁」の仕上げで、かつては一般的な壁の上塗りとして用いられてきた。
  歩掛 2m2 /人日
特徴 京壁の代表的な工法。色土という自然の素材ならではの深みのある優雅な光沢が魅力。高級仕上げの名にふさわしい。
九条土糊捏ね仕上げ   京聚楽錆入り仕上げ   京聚楽長スサ入り仕上げ
歩掛 3m2/人日
特徴 飽きのこないネズミ色が魅力の九条土を用いた代表的な仕上げ。川砂とふのりを混練りした材料を使用する。
  歩掛 3.3m2/人日
特徴 聚楽土に鋼の粉を混入し、水でこねた材料を用いる。施行後、鋼の粉が湿気を吸って錆が表面に現れる。
  歩掛 2.5m2/人日
特徴 10~15cmぐらいに切った藁スサを塗り込んだ仕上げ。素朴で温もりのある豊かな肌合いがある。

土壁塗
健康やリサイクルに適した環境共生型の天然素材
■特色
日本固有の風土や生活様式の中で培われた工法。壁土の種類や調合・工程の選択の自由度も高く、天然素材の色を活かした建築が得られる。防火・防水・防音性などのほか、素材自体が持つ呼吸性から調湿機能にも優れている。無公害で長持ちするうえ、味わい深く経年変化していく。近年になって、健康やリサイクルに適した環境共生型の素材として再評価され始めた。
■適した部位
住宅・一般建築の内外壁をはじめ、塀や天井など適用範囲は幅広い。
■性能評価
空気中の水蒸気を取り込むのにちょうど良い大きさの孔が多数開いているため、調湿・調温機能に優れている。また耐火性や断熱性も高い。
■施工工程
荒壁塗り付け後は通風を良くし、塗り面を十分に乾燥させるようにする。乾燥後のムラ直しや中塗り工程には中塗土を使用。中塗り工程では荒壁土ほど厚塗りしないため、乾燥が速い。塗り重ねが上層に進んでいくにしたがって、塗り厚は薄くなるのが一般的。なお梅雨期の上塗り施工はなるべく避ける。また寒期の施工は凍害に注意し、できれば養生する。
施工工程断面図
(木舞壁下地の場合)
施工工程フローチャート
(※木舞壁下地の場合)
■下地
伝統的なものとして、木舞壁下地がある。木舞は全国的に画一的な工法はないが、縦竹および横竹それぞれの間隔は均等にとり、目透かしは割り竹の幅の約2倍以上とするのが一般的。横竹の元末を1本ごとに交互にして、木舞が平均の強度を保つようにかき付ける。このほかにも適用できる下地の範囲は広く、木摺、レンガ、メタルラス、ALCパネル、石膏ラスボード、コンクリート系下地も使用される。

■材料と調合
荒壁土は藁スサを加え、7日以上水合わせ期間をとる。その際、古土の混入率を多くすれば一般に強度が高くなり、乾燥による収縮も少なくなる。中塗土は荒壁土と同質のものを用い、これに古い藁などを切りほぐして蒸したものを混ぜ、水練りして使用する。土の粘性、作業性は、川砂・スサを混入して調整する。

壁土(l)
川砂(l)
消石灰(kg)
スサ(kg)
糊(kg)
下塗り
100(荒壁土)
0
0
0.6(藁)
0
ムラ直し・中塗り
100(中塗土)
60~150
0
0.5~0.8(モミ)
0


水捏ね
100(色土)
80
0
4.0(みじん)
0
糊差し
100(〃)
100
0
3.2(〃)
1.5(つのまた)
糊捏ね
100(〃)
50
0
0
2.5(〃)
普通大津
100(〃)
0
30
4.0(さらし)
0
 
聚楽土   中途土
■仕上げ
【土もの仕上げ】「水捏ね」「糊差し」「糊捏ね」の各仕上げは、塗り付け後、十分ムラを取り、鋼製の鏝で仕上げる。
【普通大津仕上げ】下塗りは上塗りと同じ日に行う。下塗りの際はよくムラを取り、適度に水で湿らせるが、その際表面の目をつぶし、鏝で押さえておく。
【大津磨き】上塗り後、鏝でよく磨いて、艶が出始めた頃合いに少量の水を含ませた布で塗面をふき、さらに磨きをかける。この工程を数回繰り返し、最後ビロード・フランネルなどで壁面を横一方向にふいてアクを取り、仕上げる。
【砂壁仕上げ】中塗りをよく乾燥させてから、仕上げ材料を塗り籠め、鏝押さえを十分に行い、入念に仕上げる。
■メンテナンス
変形の恐れのある壁貫・木摺板などは使用せず、下塗り層は上塗り層より強くするという原則を守り、乾燥のための養生期間を十分に取る。
木舞かきの作業 貫き伏せ作業 中塗りの施工
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  日左連は様々な団体と連携を取って活動をしています。
本会参画関係
 

(本会母体関係)
日本住宅モルタル外壁協議会 http://www.morutarugaiheki.jp/
全国左官タイル塗装業国民健康保険組合 http://www.sttkokuho.or.jp/
全国左官業国民年金基金 http://www.nissaren.or.jp/1974

(本会参加・加入団体等関係)
一般社団法人建設産業専門団体連合会 http://www.kensenren.or.jp/
国土技術政策総合研究所(国総研) http://www.nilim.go.jp/

行政・官公庁関係
 

(官公庁関係)
内  閣  府 http://www.cao.go.jp/
国土交通省 http://www.mlit.go.jp/       (土地・水資源管理局「土地総合情報システム」
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
文部科学省 http://www.mext.go.jp/
環  境  省 http://www.env.go.jp/
経済産業省 http://www.meti.go.jp/
総  務  省 http://www.soumu.go.jp/

(行政関係・長八生誕の地)
静岡県賀茂郡松崎町役場 http://www.town.matsuzaki.shizuoka.jp/
伊豆松崎町観光協会 http://www.izu.co.jp/~matsukan/

団体等関係
 

(国土交通省関係団体)
一般財団法人建設業振興基金 http://www.kensetsu-kikin.or.jp/
一般財団法人建築保全センター http://www.bmmc.or.jp/
一般財団法人建築保全センター http://www.bmmc.or.jp/
一般財団法人日本建築センター http://www.bcj.or.jp/
一般社団法人公共建築協会 http://www.pba.web.jp/
公益財団法人日本住宅・木材技術センター http://www.howtec.or.jp/
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 http://www.j-reform.com/
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター http://www.chord.or.jp/

(元請団体関係)
一般社団法人日本建設業団体連合会 http://www.nikkenren.com/
一般社団法人全国建設業協会 http://www.zenken-net.or.jp/
公益財団法人竹中大工道具館 http://www.dougukan.jp/

(中小企業団体関係)
全国中小企業団体中央会 http://www.chuokai.or.jp/

(建築に関する学術団体関係)
一般社団法人日本建築学会 http://www.aij.or.jp/
日本建築仕上学会 http://www.finex.jp/

工学院大学工学部建築学科 http://www.kogakuin.ac.jp/faculty/department/technology/
東京大学生産技術研究所 http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/
早稲田大学理工学術院 http://www.sci.waseda.ac.jp/
東海大学工学部建築学科 http://tokai-architecture.jimdo.com/
広島大学大学院工学研究科・工学部 http://www.hiroshima-u.ac.jp/eng/
金沢工業大学環境・建築学部建築学科 http://www.kanazawa-it.ac.jp/gakubu_daigakuin/kankyo_kenchiku/
日本大学生産工学部建築工学科 http://www.arch.cit.nihon-u.ac.jp/

(建築材料メーカー・商社等団体関係)
日本建築仕上材工業会(NSK) http://www.nsk-web.org/
NPO法人湿式仕上技術センター http://www.npo-stc.jp/
日本床施工技術研究協議会 http://www.yukakai.jp/
日本漆喰協会 http://www.shikkui.gr.jp/

(設計士等団体関係)
公益社団法人日本建築士会連合会 http://www.kenchikushikai.or.jp/
公益社団法人日本建築家協会 http://www.jia.or.jp/
一般社団法人日本建築士事務所協会連合会 http://www.njr.or.jp/

(労働・安全衛生・福利厚生関係)
建設業労働災害防止協会 http://www.kensaibou.or.jp/
独立行政法人勤労者退職金共済機構 http://www.taisyokukin.go.jp/

(厚生労働省関係団体)
東京労働局 http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/
中央職業能力開発協会 http://www.javada.or.jp/
一般社団法人全国技能士会連合会 http://www.takuminowaza.net/
国民年金基金連合会 http://www.npfa.or.jp/

(人材育成・教育・訓練関係)
・日本人関係

職業能力開発総合大学校 http://www.uitec.jeed.or.jp/
職業訓練法人富士教育訓練センター http://www.fuji-kkc.ac.jp/
一般社団法人日本産業訓練協会 http://www.sankun.jp/
一般財団法人地域開発研究所 http://www.ias.or.jp/
ものつくり大学技能工芸学部建設技能工芸学科 http://www.iot.ac.jp/building/
新潟県立魚沼テクノスクール http://www.techno.ac.jp/top/sec/U
全国高等学校建築教育連絡協議会 http://www.zenkokenkyo.org/

・外国人関係
公益財団法人国際研修協力機構 http://www.jitco.or.jp/
一般財団法人海外職業訓練協会 http://www.ovta.or.jp/

建築に関わる広報・宣伝・報道等関係
 

(建築広報・宣伝関係)
一般財団法人経済調査会 http://www.zai-keicho.or.jp/
一般財団法人建設物価調査会 http://www.kensetu-bukka.or.jp/
政府刊行物 http://www.gov-book.or.jp/
建材情報センター http://www.archimap.ne.jp/
一般社団法人CPRA建設広報協議会 http://www.cprahp.com/
一般財団法人職業訓練教材研究会 http://www.kyouzaiken.or.jp/

(報道関係)
㈱工文社 http://www.ko-bunsha.com/
㈱日刊建設通信新聞社 http://www.kensetsunews.com/
日刊建設工業新聞社 http://www.decn.co.jp/
日刊建設産業新聞社 http://kensan-news.com/index.php


2010年4月7日

技術紹介

左官工法の実際とテクスチュアの表現

多様化する建築主のニーズに応える左官工法の意匠性・機能性・安全性。



 

磨きぬかれた技と自然の持つエネルギーが床・壁・天井に新たな生命力を注ぎ込む。

見るほどに味わいのある肌合い。これは技能工の鏝さばきによる左官工法ならではの表現である。長年にわたって培われてきた日本の住まいに対する知恵と伝統技能によって確立された多くの工法は、明治期に洋風建築工法をも吸収し、今もなお現代建築に柔軟に対応し続けている。

さて、その表面仕上げを支えているのは、基本となる材料、混ぜもの、そして仕上げの3本の柱である。これらの組み合わせによって表現方法は無限に広がり、そのバリエーションは今日も、新しい材料や工法の出現により、ますます多彩なものとなりつつある。

しかし、左官工法は単に意匠だけを意識したものではない。機能的にも優れた力を発揮するのである。建物自体の耐久性を高めることは、古くから残る歴史的建造物の多くが、今もなおその美観を保ち続けていることによりはっきりと証明されている。

その理由の一つは、塗り壁自身が持つ湿度調整機能にある。左官工法による塗り壁はそれ自体が湿度を調整し、室内に湿気をため込まない。したがって乾式工法で問題とされるような壁面の結露が生じず、必要以上に防カビ剤や防ダニ剤を用いずに済むのである。

このことは、左官工法が建築物の耐久性を向上させるだけではなく、住まいの健康や環境保護の観点から見ても高い効果を発揮することを意味する。今後の住環境を考慮すれば、非常に有効な工法だと言えよう。しかも長くクオリティーを保ち続けるので、経済的な面でも優れた工法だと考えられる。

 

磨き込むことにより鏡のような優雅な光沢を得られる漆喰(しっくい)塗、藁スサや色砂などの素材感を混ぜ込んだ土壁塗、素材のなめらかさを存分に活かしてさまざまな造形美をもたらす石膏プラスター塗、骨材が持つ天然の素材感を表面に出して表現する洗い出し、研ぎ出し仕上げなど、左官工法はまさに無限の表現力を持つ。さらに左官技能工の技に自然の力も加わって、二つとして同じものは存在しない。

左官工法は新建材を用いた乾式工法と比較すれば、非常に手間のかかる作業であることは言うまでもないだろう。しかし、完成した床・壁・天井の持つ表情や機能性は決して乾式工法では実現不可能な世界なのだ。既調合材の登場により大幅な工期短縮も可能となった今、左官工法がますます注目されることは間違いない。

左官建築物の紹介

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