見るほどに味わいのある肌合い。これは技能工の鏝さばきによる左官工法ならではの表現である。長年にわたって培われてきた日本の住まいに対する知恵と伝統技能によって確立された多くの工法は、明治期に洋風建築工法をも吸収し、今もなお現代建築に柔軟に対応し続けている。
さて、その表面仕上げを支えているのは、基本となる材料、混ぜもの、そして仕上げの3本の柱である。これらの組み合わせによって表現方法は無限に広がり、そのバリエーションは今日も、新しい材料や工法の出現により、ますます多彩なものとなりつつある。
しかし、左官工法は単に意匠だけを意識したものではない。機能的にも優れた力を発揮するのである。建物自体の耐久性を高めることは、古くから残る歴史的建造物の多くが、今もなおその美観を保ち続けていることによりはっきりと証明されている。その理由の一つは、塗り壁自身が持つ湿度調整機能にある。左官工法による塗り壁はそれ自体が湿度を調整し、室内に湿気をため込まない。したがって乾式工法で問題とされるような壁面の結露が生じず、必要以上に防カビ剤や防ダニ剤を用いずに済むのである。
このことは、左官工法が建築物の耐久性を向上させるだけではなく、住まいの健康や環境保護の観点から見ても高い効果を発揮することを意味する。今後の住環境を考慮すれば、非常に有効な工法だと言えよう。しかも長くクオリティーを保ち続けるので、経済的な面でも優れた工法だと考えられる。 |