主に外壁で仕上げる工法

セメントモルタル塗り工法は、現在の左官工事では最も一般的な普及した工法です。材料はポルトランドセメントを使用し、各種の下地に施工可能で、建築における強度・防火・耐久性・などの処機能の要求を十分持ち合わせることができる材料・工法であります。また材料素材を変化させることによって多様なテクスチャーが可能で様々な表現仕上げが可能であります。

【1】コンクリート下地セメントモルタル塗り工法

コンクリート下地にセメントモルタルを塗る場合、下地が乾燥しているとコンクリートに水分をとられて水和反応が阻害され、硬化不良や接着不良を起こしやすくなります。このことをドライアウト現象ともいいますが、下地の吸水だけでなく、塗りつけた後に直射日光や強風によってもドライアウトは起こりえます。塗りつけ後のドライアウトはシート養成や散水によってこれを防ぐことができます。セメントモルタルを塗る前には水湿しを行うか、吸水調整剤を塗布します。吸水調整材は3~6倍液に薄めて使用すれば、乾燥膜は不連続なネットのような膜となりコンクリートとセメントモルタル界面は通気した状態となり、ドライアウトを起こさず高い接着力が得られます。しかし水に薄めずに原液のまま使用すると、コンクリートとモルタルが鏡面状の連続したフィルを作り、かえって浮きを招く結果となりますのでメーカーの仕様書を厳守しましょう。

【2】セメントモルタル薄塗り工法

セメント系または合成樹脂系の既調合薄塗り材を用いて、0.5mm以上10mm以下程度の薄塗りに仕上げる工法をいいいます。近年、コンクリートの躯体の精度の向上に伴い、コンクリート打放し面を全面的に、または型枠の目違い(段差)などを部分的に下地調整材を薄く塗って、塗装や吹付けなどの下地とすることが多くなっています。
ALCパネルのような吸水の大きいもの、各種ボードなど平滑すぎるものは、吸水調整剤を使用してシーラー塗りが必要です。そのさいには製造業者の仕様によります。

【3】ラス下地セメントモルタル塗り工法

ラス(鋼製金網)はコンクリートブロックの下地にも張り付けてラス下地とする場合もありますが、主に木造ラス下地モルタル塗りが一般的です。主に木造の外壁の場合は温冷乾湿の変化の大きいため、上塗りを貧調合にして変化の動向を小さくする必要があります。つまり上塗りでは下塗りの時に比べセメントに対する砂の割合が増える傾向にある方が好ましいといえます。

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