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素材と工法(素材:すさ類)

 

 

すさ類

すさの用途は壁の補強、亀裂防止、曲げ強度を向上させ、また作業性の向上効果もあります。塗り壁材料に弾性力を持たせ、鏝伸び、鏝ばなれをよくし、すさによって保水効果も期待できます。関西では「すさ」と呼び関東では「つた」と呼ばれています。土とともに藁すさが古代から使われ、紙すさも法隆寺で使われていたと左官博士の山田幸一先生は書いています。明治以降、下地として木摺りが用いられ、漆喰すさも麻すさが使用されるようになりました。昭和30年ころまでは藁、マニラ麻、ジュート麻、日本麻等、天然の植物繊維がすさの主材料であり、各地域の産物によって作られる特殊性のものもありました。すさの素材は使い古され廃材によって生産されきたものが多く、まさしくリサイクル製品の手本みたいなものです。特に白毛すさは十分に使用されたロープなどの腰がしなやかで良質なものとされていますし、下駄の鼻緒は最も高級な生浜すさになりました。現在では化学繊維であるグラスウール、ナイロン、ビニロン等の誕生によって最初からすさとしての機能を持った商品が製造されています。

天然繊維の特徴

 天然のすさは繊維が細かい枝状になっており、これが塗り材料の付着効果を高めており、鉄筋コンクリートで言えば異形鉄筋であると表現できますが、そのため絡みつきが強く、良く解してから練り合わせる必要があります。
←天然繊維の拡大図

化学繊維の特徴

 化学繊維は引っ張り強度が天然繊維よりはるかに大きく、長さ、太さの寸法が用途に合わせて製造可能です。形状は一般には統一化され丸棒鉄筋のようで、付着効果は天然繊維より劣ります。しかし塗り壁に混入した際には分散性は優れています。
←化学繊維の拡大図

【1】麻すさ
電子顕微鏡写真
麻すさ x300
繊維に吸水作用があり鏝押さえする際に水分を出し、鏝と壁面の滑りを良くします。これも作業性向上の一役を背負っいます。

すさは一般には土もの壁には藁すさが、漆喰、プラスター類においては麻すさが使用されています。その麻すさは、鼻緒の切りくず、地引網、船舶に使った麻のロープを裁断したものを用います。それを漂白粉で白く晒したものを塗り壁材料に混入してもちいます。麻すさのグレードは並浜、中浜、ポンキ(特上本生浜)の順に上等になります。

【2】荒すさ(藁すさ)
荒すさ

荒壁用のすさで、藁を6cm内外に押し切りで切って荒壁用の土にあらかじめ混ぜておきます。その寝かせて置く期間が長いほど良く、1ヶ月内外すると、藁が水に分散して侵出液を出しよくほぐれます。藁の浸出液によって土に粘性を与えるとも言われています。

【3】中塗すさ(藁すさ)
中塗り用藁すさ

古い藁やむしろを2cm内外に切り、たたいて水につけ柔らかくしたもので、節を除いてあります。もみすさといい、とくに精製したもを上もみともいいます。

【4】飛出しすさ(ひだしすさ)
飛出しすさ 電子顕微鏡写真 X500
水に晒した藁のため、リグニンによるアクが出ず、膠着しないで分散性、柔軟性がよくなる。

良質の古藁縄を集積し切断機にて一分目に切断し洗風機で「飛出し」と「みじんすさ」に分離させます。その飛出しされた精選したもので長さ1cm内外のものを「飛出しすさ」と呼んでいます。

【5】みじんすさ(藁すさ)
みじんすさ 電子顕微鏡写真 X80
外見は粒状であるが、拡大するとすさの役目を果たすのに充分な繊維状態にある。

上塗用藁すさで、特に上質なものは使い古された古縄を3mm以下に切り幾度か槌打ちします。扇風機で風ふるい又は篩通しをして柔らかいものを密閉した貯蔵庫に入れて水霧をかけます。夏なら2昼夜、冬なら1週間くらい据え置き灰汁を抜き、それを乾燥したものを使用します。

【6】紙すさ(玉ずさ)
紙すさ

法隆寺建設以来の歴史をもち強い鏝圧にも耐えれるものです。長八が口に含んだ和紙で漆喰を作ったことでも知られています。磨き大津や漆喰の磨きのノロに使用されます。かつては、大福帳などの古帳簿をほぐして使用したといいます。現在でも扇子用和紙で、西京紙すさという最上級のものがありますが、コウゾやミツマタ等の植物繊維を用いて作られる生紙で、これら裁断くずを利用してもよいでしょう。利用方法は強靱な和紙を水に浸し樫の木の棒でよく叩き、繊維をほぐしてつくります。

【7】ガラス繊維
電子顕微鏡写真
ガラス繊維 X500
工業繊維で癖のない形状であるが分散性には優れている。

ガラス繊維は溶融したガラス素地をノズルから引き出し、機械的に延伸しつつ急速に冷却して数~数十μmの径に繊維化したもので、製造方法とそれに応じた製品形態の違いにより、大きく長繊維と短繊維(ウール)に分類されます。ガラス繊維で編んだネットがクラック防止になるため最近では外壁に限らず内壁にも多用されています。