鉱物性繊維質・粒状物

左官素材の中で川砂はじめ自然の鉱物あるいはそれを原料として成形されたものを頻繁に使用します。鉱物質の特徴として不燃性であり、それ自体が多孔質であるのが多く、2次製品として繊維の集合による空隙構造を形成するものもあります。それらは一般に軽量で断熱性・吸音性に優れていて、建物でこれらの特性を要求する壁や天井を塗ることによって不燃化、湿気の吸放湿、VOCの吸着などシックハウス対策にも対応することにも役だっています。

【1】パーライト

パーライトは真珠岩、黒曜石の2種類があります。例えばモルタルの骨材(0.15~10mm)に使用するものを作る場合には、原石をそれに見合った粒の大きさに粉砕します。それを900~1200℃で焼成すると、10~20倍に膨張し、粒の大きさはほぼモルタルの骨材に相当するようになります。パーライトは軽量であるため、防火や断熱や吸音を目的とした軽量モルタルの骨材として多く利用されています。また最近ではプラスターや、吹き付け材料に混入されて、様々なテクスチャーを醸し出すことにも役立っています。外見状では、一般には黒曜石は球形粒状で真珠石は顆粒になっているのが特徴です。

パーライト

【2】バーミキュライト(ひる石)

バーミキュライトはマグネシウム・アルミニウム・鉄の含水けい酸等を主成分としています。雲母質の岩石で薄い無数の層が重なっており、加熱するとその層が数十倍に膨張する性質を持ち、この膨張したものをバーミキュライトと呼んでいます。その際に急膨張する様が河原に生息する「ひる」の動きに似ているため「ひる石」とも呼ばれています。粒の大きさは5mm以下で軽くて断熱性にすぐれ、金色か銀色をおびて外見は美的でもあります。その美しさから吹き付け材や掻き落としの材料のなかに中に混入させて表現することもあります。またパーライトと同様に、0.6mm、1.2mm、2.5mm以下等の粒度のものを適量に混合して、軽量化・断熱・防火・吸音を目的としたプラスター、セメントモルタルの骨材として利用されています。

バーミキュライト(ひる石)

【3】珪藻土

最近特に注目されている珪藻土とは珪藻プランクトンの殻が長年に亘って堆積し出来たものです。塗り壁に用いられと、珪藻土の0.1~0.2ミクロンの細孔が調湿機能や断熱機能といった様々な機能性発現のもとになっています。主成分は珪酸ガラス質であり、現在でもビール等の食品の濾過にも使用されています。元来、日本では珪藻土は焼くことによって固形され、七輪、コンロ、耐火レンガ等に利用されてきた。近年この珪藻土を使用することよって脱臭効果があることが判明し健康住宅の材料の一員として大きな役目をおっています。

塗り壁に使用される珪藻土
電子顕微鏡写真 X500
珪藻土といっても様々な形状のもので構成されている。

【4】ゼオライト(zeolite)

沸石で一般の粘土鉱物と比べて結晶の大きさははるかに大きくサイズ的には粘土鉱物ではありませんが、その立体構造のなかに大きな空孔があり水分子と交換性陽イオンが含まれます。それで、イオン交換性や吸湿性があり、層状珪酸塩の粘土鉱物に見られる特徴と一致しており粘土鉱物の仲間に入っています。

【5】シラス

シラスは白色砂質堆積物を指します。鹿児島では正月に庭先にシラスを撒いて清める風習がありました。シラスの特徴は火砕流堆積物で粒径が不揃いで大小の軽石や岩片と細かな火山灰とが混ざり合っています。火山灰とは、結晶する時間もなく急冷された火山ガラスであり、比重が小さく多孔質であるため吸水が激しいですが、それを応用して塗り壁で調湿性のあるものを作り出しています。

塗り壁に使用されるシラス
X500
不揃いな粒径でガラス質結晶の存在が見られる。

【6】軽量発泡骨材

その他の軽量発砲骨材としては、最近、粒径が2~3mm程度の発砲ポリスチレン等の合成樹脂が下塗りモルタルに使用されています。粒径が球状のものや、廃棄発砲ポリスチレンボードを破砕した不整形のものがありますが、いずれも、この骨材の持つ弾性と軽量によって塗りやすく、塗り面が適度な粗面に仕上がるため目荒しが不要になる等の利点があります。そのほか断熱性が向上して結露防止にも効果があるといわれ、吸水性、耐候性に劣るため内壁に使用されています。また、近年炭酸カルシウム発砲体や、ゴムラテックスの破砕片、エチレン・酢酸ビニールチップ等多様な軽量発砲骨材が登場してきています。合成樹脂のものと同様に、軽量、目荒し不要、接着性大等の利点をもっており、外部での使用実績も増してきています。