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素材と工法(下地:石灰系結合材料)

 

 

石灰系結合材料

石灰系材料は昔から漆喰として左官工事に利用されています。固まる機構は乾燥と炭酸化によって行われます。漆喰を例に取りますと、まず漆喰に含まれている水和分の蒸発が必要です。これが完了しないと空気中の炭酸ガスを吸収しずらくなります。したがって塗った漆喰がセメントモルタルに比べて強度が出るまで時間かかるのが特徴であり、また炭酸ガスとの反応は塗り表面から順次内部に進行していきます。純粋な消石灰からできた漆喰は水の中では固まりません。塗ったばかりの漆喰は、さわったり、物が当たったりすると、キズが付き易いので注意しましょう。

【1】消石灰
左官用石灰は石灰石(CaCO3) を原料とします。これを約900℃~1200℃で焼きます。その際に「塩焼き」と称して石灰岩に対して0.2%程度の食塩を混合すると粗大な球状結晶になり連結します。したがって粒子が多きく、大きな空隙気孔が存在するため嵩比重は小さく混水量は少なくてすみ漆喰にするための利点は多くあります。そうしてできたものを生石灰(きせっかい)といいます。生石灰に水を加えて消化させます。消化することを「ふかす」とも言い、消化された石灰なので「消石灰」と呼ばれています。消石灰にすさと、糊を混入したものを漆喰といいます。

電子顕微鏡写真
工業用消石灰 x1500
多数の微少粒子が凝集したフロック状粒子群を示しています。混水量が多くなり収縮しやすく漆喰に不向きです。
電子顕微鏡写真
塩入消石灰 x1500
部分的イオン反応により数μmの球状粒結晶が生成しており、微少粒子の凝集フロックと混在しています。
【2】貝灰
電子顕微鏡写真
牡蠣貝灰 X1500
結晶は消石灰と比べて大きく、消石灰と混ぜて漆喰にすると表面硬度は高くなります。

牡蠣貝や蛤などの貝殻を焼いてから消化して消石灰を得ることができます。古代は石灰岩を焼くより貝殻を焼いた方が低温でしかも入手しやすため貝灰が多く用いられていたと考えられます。かつては漆喰塗には消石灰と貝灰と5:5あるいは6:5などの割合で配合されていました。貝灰の粉末が粗く焼成されない炭酸カルシウムが残存するためこれが骨材的役目をなし消石灰と混ぜ合わせることによって収縮亀裂が減少するといわれています。現在では貝灰を生産している地域は少なくなってしまいました。

【3】生石灰クリーム
石灰岩を焼くと生石灰ができます。これに水を加えて反応させると高温を発生し可塑性に富んだ石灰泥(ドバ)ができます。このクリーム状になったものを生石灰クリームと呼んでいます。生石灰クリームは漆喰と同様、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなり硬化します。ヨーロッパの古代人はこれに火山灰を混ぜ合わせることで半水硬性の石灰モルタルにしました。この火山灰をポゾランと呼んでいます。現在、既調合となって練り上がった生石灰クリームがあり、作業性がよく多用な表現が出来るので需要が伸びてきています。
【4】胡粉
電子顕微鏡写真
水飛胡粉 X500
粒子が扁平性があります。

胡粉は古くから体質顔料とて使用されています。原料は牡蠣殻などの貝殻を天日にさらし付着物を取り除き、粉砕して、水の入った容器にかき混ぜ沈殿しないものを取り出し、これを水飛胡粉と呼んでいます。胡粉は焼成していないので水と混ぜただけでは固まりませんので、結合材とは言えないでしょう。粒子が扁平であるためハケ塗りで日本画の絵の具に、または人形の絵づけに用いられています。有名な伊豆の長八はこれを膠に溶いて鏝絵に使用していました。

【5】ドロマイトプラスター
ドロマイトプラスターはマグネシアを含むものであり、その含有量は20%位で一定ではありません。その中でも白雲石(はくうんせき)別名でドロマイトととも呼ばれる炭酸苦汁石と炭酸石灰とが結合したのものが有名です。現在、日本では栃木県葛生、鍋山地区で主に産出しており、戦時中迄は中国の大連付近や北朝鮮などで多量に産出していました。基本的に製造過程は消石灰と同じです。ドロマイトプラスターの塗り材の特性は適度な初期粘性があるために漆喰と異なり糊を混入しなくとも、鏝のびがよく作業性に優れていますが、収縮が大きく、また強度が大きいため大きな亀裂があちこちに集中しておきる欠点があります。