トップページ > 技術情報 > 工法 > 素材と工法(工法:主に内壁で仕上げる工法)

素材と工法(工法:主に内壁で仕上げる工法)

主に内壁で仕上げる工法

沖縄を含め南方にはサンゴ島が多く点在しています。海岸に打ち上げられた枝サンゴを持ち寄り、海岸に穴を掘って流木や、ヤシの木を燃やして、そのサンゴを焼き、海水をかけて消化させた石灰をかつては作っていました。それを細かく臼で砕いて、切り藁を入れ寝かして漆喰にします。このように、元来、建築材料は本来地場にあるものを利用してきました。まさに漆喰は日本古来からそれに値するものです。

【1】漆喰仕上げ
漆喰と珪藻土 (電子顕微鏡写真 ×1500)
漆喰には多くの空間がありこれが調湿効果を高めます。中心部に見える珪藻土によってさらに効果を増大させます。
100年経過漆喰子顕微鏡写真 (電子顕微鏡写真)
炭酸化が進み元の石灰岩に戻っています。細い強靱繊維(麻すさと思われる)が現存しているのが確認出来ます。

日本建築で漆喰は古来より土とともに最も一般的に使用されてきた左官材料です。現在でもその左官仕上げとしてはモルタル工事とともに仕上層での需要は多くあります。下地が土壁の時代では伝統的に関東の漆喰塗りは下地にこすり塗りをした上に追いかけ上塗り漆喰を塗りますが、関西では下地に直接上塗り漆喰を塗っていきます。これらは関東では中塗り表面に保水性がなく、表面硬度が低く、反対に関西では中塗り土に粘性があり、表面硬度があるためです。漆喰の基本的性質は加水量の大きいものほど強度は低下し、水を少量づつ加えながら練った場合は粘度が高くなり硬化度も大きくなります。風通しのよい場所程、炭酸化が進み硬度が早く大きくなりますが急激な乾燥は収縮クラックの原因になります。

【2】土佐漆喰仕上げ
土佐漆喰 (電子顕微鏡写真 ×1000)
白い粒径部分が消石灰で濁色部分は藁のリグニンに染まった部分である。急激な乾燥をさせると白色部分が多くなり色むらの原因ともなります。藁すさの混在が確認できます。

土佐漆喰は高知県特有の漆喰で南国市稲生に良質の石灰を生産し、独特の製造方式によって作られています。石灰岩に工業塩をいれ焼成しますが、それを塩焼き石灰あるいは地灰と呼ばれ一般に粒度が大きくなります。その消石灰に発酵させた稲藁すさを練り混ぜますが一般の漆喰のように糊材を混入しないことに特徴があり、県南部の風雨に耐える外壁材です。稲藁すさを用いているため塗りつけた当初黄色ですが、硬化するにしたがって、次第に漆喰の持つ肌合いになるとともに色も白くなって行きます。近年土佐漆喰の機能性が見直され各地で盛んに使用されています。

【3】ドロマイトプラスター仕上げ
ドロマイトプラスターは適度な初期粘性があるために漆喰などのように糊材料を混入しなくとも、鏝のびがよく作業性に優れています。そのため戦後は学校などの大建造物の内壁によく使われました。ドロマイトプラスターは表面強度が大きく出るため収縮が起きやすいので、すさでこの弱点を補います。仕上げ表面は漆喰に比べてより純白で、磨くと艶が出ます。
【4】せっこうプラスター仕上げ
せっこうプラスターの針状結晶 (電子顕微鏡写真 ×1000)
絡みにあった針状結晶でこれがボード表面の紙に突き刺さる。塗り面にこの条件がないと、剥離原因となる。水が介在する結晶間の摩擦抵抗が無くなり強度が半減します。

せっこうプラスターの硬化機構は、せっこうの水和物が針状に結晶し、その結晶が絡み合って、組織の中の余分な水分が蒸発乾燥するにつれて発現するものです。したがって下記のような乾燥が困難な場所ならびに乾湿の繰り返しを受ける部位では硬化不良となることが多く、耐久性のない壁面になる恐れがありますので避けるようにしましょう。

  1. 地下室、金庫室、書庫等で、多湿、通風不良の壁、天井
  2. 地下、厨房等、常時、水や水蒸気に触れるおそれのある場所の壁、天井

このほか、コンクリートスラブ天井面への直塗り仕上げは、上階からの振動を直接に受けるため、安全性の確保のため1区画の塗り面積を制限する必要があります。そのほか非難通路となる廊下や階段裏の天井への直塗りは、仕上厚を5mm以下が望ましです。

【5】大津壁仕上げ
大津壁は石灰に粘性の色土とすさを混ぜたものです。石灰は良質のもので、色土は色彩と保水性を得るために粘性のあるものがよく、漂白した麻すさ、または紙すさを加え水で混練りします。大津壁は仕上げ面が漆喰、プラスターに似ているので設計の仕様書で混同されることがあります。しかし素材の組み合わせは全く別種のものであり、漆喰のように煙、塵芥を吸収して黄変、又は赤変したり鏝斑が出にくいのが特徴でもあります。糊を使用していないために内壁は勿論、外壁にも使用できます。大津磨き仕上げは技術的にも、また日本壁を代表する最高の仕上げといえます。そのほか、づぼ大津仕上げ(ついやり)、並大津仕上げ(苧捏ね、二分)と呼ばれる仕上げがあり、その土地の色土を入れればその土地独特の大津壁が出来きます。
【6】珪藻土仕上げ
最近話題の珪藻土塗り仕上げですが機能性は各所で紹介されているので、ここでは省略します。反対に問題になる点は色むらの問題です。日左連ではその原因を次のように推測してみました。

  1. 混合された顔料の比重の違いによってい色むらがおきます。
  2. 鏝押さえをするとき鏝と仕上げ面にブリージング(浮水)現象がおき、これによって比重の少ない珪藻土が顔料と共に表層に上がってしまいます。
  3. 仕上げ表面に浮き上がった珪藻土は硬度が高いため(硬度6)固まりかけた壁面を押さえると鏝の表面を削り、それが色むらとなります。

対処策としては

  1. 顔料は鉱物の無機顔料(黄土等の土などがよいでしょう)
  2. 練り上がった材料は10分程度置き、再度混練りします。
  3. 鏝は表か裏で押さえ、返し鏝はせず、しまり具合をみて手早く仕上ます。
  4. 乾燥始めたらあまり強く鏝で撫でないで下さい。

【7】繊維壁仕上げ
繊維壁仕上げとは、化粧用上塗り材料で、有機質または無機質の繊維材料、色土、パーライト等を主原料とし混和材および糊材料を混ぜたものです。継ぎ目がなく、多くの表面模様が可能で、吸音性がよく、室内空気の調湿作用があり、その上に材料の硬化、乾燥収縮などに起因するひび割れ、はく離がきわめて少ないなどの特徴があります。繊維壁材の使用は江戸時代が初めと言われ、自然の素材を活かし、伝統的な湿式工法による内装仕上げ材料です。長い伝統を基に科学的に改良され、混和剤にMC、CMC等ののり材を使用するようになった昭和35年頃より急激に需要が増しました。昭和48年の年間生産量は1.7億平方メートルを記録しましたが、昭和50年以降は低下してきました。繊維壁材の多くは3.3平方メートル分を1袋として市販されており、現場ではこれに指定量の水を加え、よく練り混ぜて使用します。繊維壁材の素材の品質上、長期間水や蒸気に触れる恐れのある浴室、地下室などへの適用は好ましくありません。また北側の外壁の内側(内装)に使用するときは結露防止のため、外壁には断熱層を設ける等の注意が必要であります。
白漆喰・押さえ仕上・長スサ入 白漆喰・印花紋入 漆喰・青貝入 漆喰・スサ入
漆喰・金箔金粉入 黒漆喰磨 漆喰・貝粉ちらし・桐紋ぬき 漆喰・パラリ仕上
 
黒漆喰・金線入 黒漆喰・青貝入 黒漆喰・糸目模様