「瑕疵補償制度」について

品確法の目的を達成するために、性能評価書が交付された住宅に係る紛争処理体制が整備されました。これは裁判を通さず迅速かつ適正な解決に資するためです。本法に基づく性能評価を受けていない住宅は適用されません。


【Q1】「瑕疵」とはどのようなことをいうのですか?
瑕疵とは欠陥のことをいいます。具体的的には設計図書通りで施工されていなかったり、雨漏りしたりしたのでは、本来の住宅の役目を果たしません。このような状態を瑕疵といいます。しかし強い地震によって、モルタルにひび割れがおき、雨漏りがおきてしまったなどは、瑕疵といえるかどうか判断が分かれるところです。こういった場合いにはそれぞれの状況に合わせて判断されます。身近な例で説明すると「瑕疵」と「不具合事象」の関係は、人の身体における病気自体と病状との関係に似ています。「瑕疵」は、例えば盲腸や胃腸病といった病気そのものにあたり、「不具合事象」は、病気そのものに起因して現れる腰痛などの病状にあたります。
【Q2】瑕疵担保責任とはどのようなことですか?
引き渡された住宅に「瑕疵」があった場合に、その瑕疵を修理を行い、賠償金の支払いなどをしなければならない責任のことを言います。
【Q3】瑕疵保証の期間はどのくらいですか?
新築住宅の引渡し後、住宅供給者が瑕疵担保責任を負う期間を10年間と義務づけています。
【Q4】瑕疵保証の期間は、最長10年までですか?
新築住宅の取得契約(請負/売買)において、基本構造部分以外も含めた瑕疵担保責任が特例を結べば20年まで伸長可能になります。但し選択であり、義務づけではありません。
【Q5】10年間という規定を短くしたり、長くしたりできるのですか?
民法では木造は5年で契約によっては2年にする事が可能でした。品確法では10年という瑕疵担保期間が設定されおり、これを短縮することはは出来ません。10年より短くしたら無効になりますが、これを反対に自信があれば20年に延長してもよくPR効果も出てきます。
【Q6】住宅の不具合がおきた場合に瑕疵担保責任の義務はどうなりますか?
瑕疵と不具合は異なります。瑕疵は原因で不具合は結果になります。瑕疵が存在すれば当然住宅に不具合がおきます。しかし不具合が起きたからといって、瑕疵がいつも存在するとはかぎりません。例えば物をぶつける、天災の影響等によって不具合が生じた場合には保証する必要がありません。要するに無償で不具合を保証することは瑕疵が存在するかどうかです。
【Q7】施主に保証書の発行やアフターサービスは義務付けられていますか?
車や電化製品のような保証期間の定めた保証書を発行する義務はありません。法律でアフターサービスは義務付けられていません。自主的にアフターサービスを実施することはいっこうにかまいません。
【Q8】製造会社の材料に問題が発生した場合施工者は責任が発生しますか?
施主との契約者の住宅会社に瑕疵担保責任は問われます。しかし、明らかに材料に問題があった場合には住宅会社はPL法に照らし合わせ、施主に製造会社に交渉させ、住宅会社が製造会社に対応を迫ることも可能です。
【Q9】内装材や塗料・接着剤に有害物質が含まれていて健康被害にあった場合どうなるか?
従来と同様に民法にしたがった請負者と注文者両者の取り決めになります。ホルムアルデヒドの基準値(0.08PPM以下)や室内空気汚染低減の設計施工指針などがでているので、仮に訴たえられた場合「知らなかった」では通りません。注意しましょう。

左官工事の「瑕疵補償制度」


【Q10】左官工事における瑕疵とはどのようなものがあるでしょうか?
左官工事における瑕疵は、通常直接には存在しませんが、国土交通大臣が、紛争処理の参考となる技術的基準を、数値的、具体的にレベルで定めています。左官工事においては、不具合事象に当てはまる場合があり、売買契約・請負契約に基本構造部分以外の短期保証基準(通常2〜3年程度)に、該当することもあります。
【Q11】地盤沈下で基礎と外壁にクラックが入りました。左官の瑕疵責任になりますか?
品確法では「地盤」は瑕疵担保責任の基本構造部分に含まれていません。「地盤が軟弱でありながら、必要な調査を行わなかった。」「軟弱であることを把握できなかったり、あるいは軟弱であることを把握していながらそれに対応した基礎を設計・施工していなかった。」それらの理由により、不同沈下を引き起こして、基礎モルタルや外壁モルタルのひび割れや床モルタルの傾きやひび割れが、発生させた場合は基礎の「瑕疵」によって発生した「不具合事象」になります。基本構造部などの「瑕疵」を発見する手がかりとなる事はあっても、ひび割れや傾きそれ自体が「瑕疵」ということではありません。
【Q12】構造上の不備によって外壁にクラックが発生したが?
土台と柱や横架材、斜材の接合の不備によって、構造上の曲げモーメントが働き外壁モルタルのひび割れや床モルタルのひび割れや傾きが発生した場合です。又、不適切な未乾燥材木で施工をしため、木材の収縮等により、応力が働き、外壁モルタルや内部耐力壁の京壁に、ひび割れや隙間が発生した場合も考えられます。これも、Q11と同様に「不具合事象」であり「瑕疵」ではありません。
【Q13】外壁から雨漏りがしたと言われたが?
雨漏りの原因も多様に考えられますが、左官工事での関連では外壁の開口部廻り・配水管廻り等の施工不良により、ひび割れが発生し雨水の侵入の原因となった場合には「瑕疵」の該当となり得えます。施工の際には開口部分のシールを励行しましょう。
【Q14】左官の施工不良によって不具合が発生したが?
左官の施工不良は様々に考えられます。例えば
  • 下地の清掃不足による接着不良。
  • 不適正な下地処理により、急激な下地面への吸水による硬化不良(ドライアウト)。
  • 不適切な調合や過小な塗り厚、過大な塗り厚・養生不足による硬化不良。
  • 下地の補修不良等、施工時の工程管理や品質管理。
これの原因で、基礎モルタルや外壁モルタルや床・内壁耐力壁に、ひび割れや、傾斜、隙間等の不具合事象が発生した場合は「不具合事象」であり「瑕疵」ではありませんが、当然、施工側の良心として補修は考えられます。

【Q15】例えば、木造住宅で,モルタル壁に「ひび割れが起こった」と住宅取得者から通報があった場合、どう対処すればいいのですか?
まず原因を特定することから始めて下さい。ひび割れの原因は大まかに
  1. モルタルの下塗り、中塗り、上塗りの養生工程の不足。
  2. 塗り厚の不足や、過大な塗り厚。
  3. 下地であるラス材の取り付け不良やラス材そのものの不良。
  4. 基礎や床,骨組みなどの構造耐力部の施工不良によって壁の変形。
  5. モルタルの硬化による収縮亀裂。

  6. これらの対策として、このホームページを活用してください。1,2,5は、住宅の品質や性能が損なわれていないので壁の補修でよいでしょう。3は、下地からのやり替える方向で対処します。問題は4で、瑕疵かどうかは、専門的な第三者に調査・知見が必要になる。利害関係のない第三者に調査を依頼するのが、トラブルを防ぐ手立てとなります。いずれにしても早い対応が問題を大きくしない手段の一つです。

【Q16】不具合事例をおこさないようにするにはどうしたらよいでしょうか?
住宅紛争処理支援センターに相談が持ち込まれる内容では外壁のひび割れに関するものがトップです。先ず施工仕様の確立にあると言えましょう。そこで、建築工事標準仕様書 左官工事(JASS15)や住宅金融公庫基準適合仕様書、(社)日本左官業組合連合会の「左官施工法」等に従った施工をしていれば、大きな不具合事象にならないでしょう。特に、木造・ラス張りモルタルにおいては、最近は適正で良質な砂が入手しずらく、安定した調合の材料が得にくくなりました。NSK認定の既調合セメントモルタル(JASS 15M−102)を使用し、上記の仕様書通りの施工しましょう。
【Q17】左官工事で一番クレーム事項事項となる外壁のひび割れで瑕疵の判断基準はどのように制定されていますか?
本基準は,住宅の表面に現れた各不具合事象(傾斜,ひび割れ等)のうち,以下の要件に該当するものに適用され,各不具合事象の状況に応じて基本構造部分に瑕疵が存する可能性を3 段階(レベル1 :「低い」,レベル:「一定程度存する」,レベル3 :「高い」)にレベル分け、それぞれのレベルに対応する不具合事象の状況を不具合事象の種類別に定めています。

湿式仕上材による壁などのひび割れ事象をモデルによって説明します。

○レベル1 (構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が低い。)

不具合事象:レベル2及びレベル3 に該当しないひび割れ

【イメージ】単独の吹付、かき落し等のみのひび割れ

下地材料(合板;乾式材料)ラス張り
直下の部材がモルタルであるものの場合には,モルタル部材の乾燥収縮によるひび割れに追随して,ひび割れの発生する可能性があります。


○レベル2(構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が一定程度存する。)

不具合事象:複数の湿式の仕上材にまたがったひび割れ(レベル3 に該当するものを除く。)

【イメージ】湿式の仕上げ材(吹付、かき落し等)と構造材表面まで貫通したひび割れ

下地材料(合板;乾式材料)ラス張り
仕上材のひび割れ自体は,乾燥収縮,温度変化等,様々な原因で発生するものであり,一つの仕上材にひび割れが生じたことのみをもって,構造部に瑕疵が存するとは言い難いが、詳細調査をすることが望ましでしょう。又、直下の部材がモルタルであるものの場合には,モルタル部材の乾燥収縮によるひび割れに追随して,複数の仕発生する可能性があります。


○レベル3 (構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が高い。)

【イメージ】湿式の仕上げ材(吹付、かき落し等)と乾式の下地材料にまたがったひび割れ

下地材料(合板;乾式材料)ラス張り
直下の部材が湿式であるモルタルの仕上材にまたがったひび割れは,当該部位に一定の応力が働かない限り発生しがたく,構造上の瑕疵が原因である可能性が高くなります。詳細調査が必要と思われます。


各図のように表面的な不具合事象の発生状況から,目に見えない基本構造部分の瑕疵の有無を特定することは技術的に限界があります。又、本基準を画一的に適用した場合には,住宅紛争処理の迅速かつ適正な推進にかえって支障をきたす恐れもでてきます。
このため,本基準の留意事項において
  1. 個別の住宅における不具合事象の発生状況を総合的に踏まえた対応の必要性
  2. レベル1 に該当しても構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する場合もあり,また,レベル3 に該当しても構造耐力上主要な部分に瑕疵が存しない場合もあることについて注意を促しています。

【Q18】施工工事事業者ですが、リフォームの工事契約は実際どのようにしたらよいでしょうか?
工事費の多少に関わらず工事契約書は必ず必要です。参考のために下記のサイトを紹介します。参考にして下さい。

財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
http://www.chord.or.jp/


※住宅リフォーム工事「標準契約書式集」
http://www.chord.or.jp/reform/japanese/newrifonet/keiyaku.htm